まつな

赤いくらげの人

20.2.15

春の匂いが日に日に強くなる

春の匂いの鬱陶しさに負けずと身体を起こし

目やにすらロクに取らず向かうコンビニで161番を下さいと言う

人の為に流した涙と自分の為に流した涙

爆発音に似た耳鳴り

エンドロールにしては長過ぎる余生

無力さを噛み締めるには痛過ぎる社会

 

交番の前の昨日の事故件数を眺める

生きてるだけで丸儲け

なんて嘘八百の歌がまかり通る社会で生きている

 

私が教師じゃなかったらあなたを殺してしまいたい

と話していた小学校の担任 指田 聖子

あの時あなたに殺されていたらと たまに思い出す

残念ながらまだ生きている 自分でも不思議なくらいに

 

一度は確実に握りしめた愛が指の間からこぼれ落ちる

離すまいと強く握りしめればしめるほどこぼれ落ちる

確かにそこにあったはずの愛は今どこにある

明日はどう生き延びる

その事ばかり考えて日が暮れる

 

20.2.15 墨田区 晴れ 12℃

20.1.31

小学四年生 学習塾 花より花と形容されるべき笑顔を思い出す

他人の不幸を背負うには自分の不幸の処理すらままならない僕にあの子の不幸を背負わせてくれと 好きでもない神に祈ってみる

 

以下あの子のためだけに

 

 

 

僕の生活はあいも変わらずうだつの上がらない毎日で風の色の移り変わりにやたらと敏感になりました

週末だからか人も多く僕の最寄り駅は喜怒哀楽に溢れています

猫が今日とて丸くなるこの部屋は感情だけが文学として形をなんとか保てています

 

雨の日に傘がさせず

さよならをロクに言えず

他人の人生から逃げる事で解決したと勘違いする

あの日言われた通り僕はバカです

 

色んな薬を飲んでみたり

引っ越しを繰り返したり

試せる自傷は一通り通ってみたりしたけれど

僕のバカはきっと一生治りません

 

教えてくれた音楽を聴いて始めたバンドを

僕は未だに続けています

あの日口ずさんでいた曲を今でも

自分のライブ前に聴いて

僕は未だにバンドを続けています

 

多分これが初恋って事だったんだろうな と10年は下らない昔の事を今になって思います

僕は明日も生きぬきます

生活の線が交わる事はもうないだろうけど

そちらもどうか お元気で

空は決して褒められた色ではないけど

今夜はすごく晴れてます

 

20.1.31 渋谷区 6℃ 快晴

20.1.27

コンビニの前でネズミが潰れて死んでいた

顔見知りでもないネズミに情を寄せる程の余裕を持ち合わせてない僕は口の中でコーヒーにタバコの煙を飽和させながら部屋に帰る

 

換気をとうに諦めた換気扇にふと腹が立ち電源を止めてみる 部屋にしばしの無音が訪れる

すぐに理由の分からない涙が止まらなくなる

なるほど換気してたのは部屋ではなく心だったのかと急いで電源を入れ直す

 

治ってもないかさぶたを剥ぐのが

愛だと言い聞かせる夜をいくつ過ごした

愛なんて不明瞭なもののせいで今日もどこかで祈りや情理 不和が生まれる

愛は結局僕を救ってくれるのか分からないまま

 

何もかも全部から許されたいと友人に伝えると

結局一番自分に許されたいねと諭され我にかえる

高く見積もって3点の自分の人生のどこを許せる 一生許せない

 

死んだって星になれないと知った夜の絶望

コンドーム付けておけば愛は付着しないと勘違いしてた事

行くあてなんて無い方が良いと息巻いた夜の長さ

昔の恋人の声に頼るしかなかった弱い日々

行かなかった百草園と行けなかった百草園

減っていくだけの記憶を今日も抱きしめて眠気を待つ

分かるだろ って膝を抱えて言い聞かす

 

20.1.27 江東区 曇り 5℃

 

20.1.15

完璧とは程遠い今の生活に不思議な安心感を覚える。

絶望はいつだって一歩後ろは愚か、足の下にまで僕を引きずりこもうと手を伸ばす。

断片的にしか残ってない記憶の縫合でにも慣れたもので、今では十中八九の縫合に成功する。

朝はいつも太陽が連れてくるのに夜は風に乗ってやってくる。風が連れてきた夜は昇る太陽に無慈悲にかき消される。

 

起き抜けのカボチャの甘さ

よだれ臭いクマの頭

足元で丸くなり暖を取る猫

寒空の公園で食べるアイス

等身大で少し無理をする程度の生活

換気の機能をとうに諦めた換気扇の回る音

聞き飽きたYouTuberの笑い声

 

最近気付いたのだが、一歩バランスを崩せば崩壊してしまう今の生活を僕は愛している。

絶望はいつだって寄り添ってくれて、僕はそれに安堵して今日も眠りにつく。

ふりしきる雨が名称の分からない何がを流してくれる事に今日もダメ元で期待する。

 

おやすみなさい

 

1.15 江東区 雨 7度C

 

19.12.5

街を転がる風の匂いはすっかり年の瀬のそれで

人間だけが少し浮き足立っているこの季節は好き

 

行けなかった百草園 信号待ちする世田谷線 寒さより喉の渇きを優先して注文した後に後悔する事 持ち歩くくたびれきった本 景色や匂いで記憶に残る人は都合良く忘れられないから卑怯だ

 

渋谷区雑居ビルの一角 水槽の様な窓から外を眺める 水槽を流れいく生活の群れに目眩する 有線から流れる流行りの曲で我に帰る

入れてもらったコーヒーはすっかり冷めていて飲み口に沿って薄く茶色くなったカップを その飲み口に従ったまま一思いに飲み干す だらっとしたクリープの甘味が喉に溜まる

 

唾を吐いて捨てた“穏やかな暮らし”に今になって手を伸ばす 同時に「お前が捨てたんだ」と過去の自分が責め立てる 嫌いな自分と好きな自分の混在する50キロちょっと肉の塊は今日も今日とて意思を持つ事を諦めないらしい

 

探し物が何なのかなんてとっくに忘れたし思い出す気も今となってはしない 何を探してるのか分からないのに毎日必死に探し物をする自分が滑稽すぎて少しだけ愛おしくなる  

2019年も生き延びたんだなと口から溢れる

 

19.12.5 渋谷区 曇り 11℃

19.10.28

吸った煙に思い出を混ぜる

朝日が照らす六畳一間

吐いた煙と思い出で満ちていく感覚

回り続ける換気扇は絶え間なくそれを吸いこむ

脳内にまだある思い出 あぁ失敗だと気づく

 

救いの何かを探してる

場所か人か 言葉か音か 匂いか性か愛か涙か

何回も言ってる

‘all i know is you can take me there’

の言葉を今日も反芻する

youなんて人じゃなくても何でも良いし

thereもどこでも良い地獄でも良い

ただここじゃないthere

そのお迎えをただ待っている

情けないほど他力本願で生きている

 

ここにいたい自分とここにいたくない自分

そのバランスをいつも間違え誰かを傷つける

今の生活がが嫌いなの -そうじゃない

どこに行きたいの -わからない

1人で行くの -誰かも分からないyouを待ってる

自分勝手なのね -今に始まった事じゃない

 

現実を上手く生きれない

街の持つリズムに馴染むことはとても怖い

ポケットに1つ愛を見つける

ああ今日もここに生き延びたと安堵する

 

19.10.28 江東区 16℃ 晴れ