まつな

赤いくらげの人

19.6.09

空っぽの部屋空っぽの頭で考える

会いたいのにもう会えない人の名前

持ち寄った傷と記憶

喉の渇き

雨の強さと荷物の面倒さ

 

誰の中でも誰にも勝てないなら誰の人生の登場人物にもなりたくなかった。

何回も思った「もう二度と」を馬鹿だから繰り返す、何回も繰り返す。

我ながら馬鹿だなって思う。

 

どこから来たのかどこに行くのかもわからない。もう戻れないって事実だけがはっきりと分かる。

戻りたい場所、人間、記憶もどうせいつか忘れる。忘れたくないから身体に彫ったってどうせ忘れる、結局人生にはさよならしかない。ものすごく寂しい。

 

映画監督になりたいと笑って話していた友人の葬式の帰りに聴いたキッズリターンのサントラ

 

忘れたくなかった昔の恋人がくれた言葉も椎名町の住所もいつのまにか忘れた。

 

 

梅雨入りした東京は視界がにごる。

ただでさえ視力の悪い目は何個増やしたって明日が良く見えない。

そうやって全部が現象になっていってしまう。

そして虚無と絶望だけが残ってしまう。

それならいっそ の勇気が無かった事に今日も安堵する。

 

19.6.09 世田谷区 16℃ 時々雨